ときどきコラム 思いつくままそのときどきの話題について提供します
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ギリアード社のC型慢性肝炎1型に対する新規治療薬承認
ギリアード社のC型肝炎1型治療薬が7月3日製造販売承認されました。
この薬は、すでに発売されている2型に対するDAAsであるNS5Bポリメラーゼ阻害薬ソホスブビルとNS5A阻害薬レジパスビルの配合剤(商品名ハーボニー)で、 適応/効能・効果は、ゲノタイプ1型のC型慢性肝炎(または代償性肝硬変)に対するウイルス血症の改善です。
BMS(ブリストルマイヤーズ)のダクルインザ+スンベプラ内服薬に次いで、2番目のC型慢性肝炎1型に対するDAAsが承認されたことになり、治療の選択の幅が広がることになります。 使用法は、1日1回1錠,12週間の経口投与で、シンプルな方法ですが、企業リリース情報では、未治療例(78例),前治療ありの患者(79例)を対象としたリバビリン非併用の国内臨床試験で,それぞれ100%の持続的ウイルス学的著効(SVR)を達成できたとのことです。また,代償性肝硬変例を含む海外臨床試験においても、未治療例で94%、既治療例で86%のSVR12(12W後)達成が示されているとのことで期待できる薬です。
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糖尿病検査の基準
HbA1cの測定は,従来日本独自のJDS値で測定していたが,最近では国際基準値としてのNGSP値に代わっています。 換算するとNGSP 値のほうが約0.4%高く表示されます。それによって、これまでの糖尿病の診断基準HbA1c 6.5%以上が,国際標準値を用いるようになって、6.9%以上に変わったかというと、そうではなく、新しい糖尿病診断基準(2010年7月1日日本糖尿病学会)では、HbA1c(国際標準値)6.5%以上となっています。 実質的に、基準がHbA1cで0.4%下がり、基準が厳しくなったようですが、 ともかくも以前のJDSの方法によれば6.1%以上(NGSP6.5%)が糖尿病型(診断基準)という基準に下がったことになります。 実際にはこれに、臨床症状や血糖値の異 常が認められて糖尿病と診断されます。
この基準を用いて管理するわけですが、数字がわかりにくいこともあってさらに、糖尿病合併症予防のための管 理基準7.0%未満(血糖正常化のための目標6.0%未満)が熊本宣言で提言として追加されています。 ざっくり言って、HbA1c7.0未満にしましょうということです。 HbA1cでのコントロールが合併症の予防に重要であることは自明ですが、それでは低ければ低いほうがよいかというと、高齢者の認知症や転倒、生命予後の点から言うと、単純にそうもいえないという点が難しいところです。 高齢者の低血糖が認知症や転倒を誘発するリスクをあげることも 重要なポイントで、そのため高齢者のHbA1c管理目標は低リスク群7.4%未満、高リスク群8.4%未満(合併症のあるもの)とされています。 さらに HbA1c管理下限値もあり、高齢者でこれ以上下げない基準として、低リスク群6.4%未満、高リスク群7.9%も設けられています。
ま た同じHbA1cの目標値を達成するにしても、強化療法で厳格に達成した場合と、標準療法で達成した場合は、強化療法のほうが、低血糖発症のリスク、死亡 率の上昇、認知症発症の増加が認められるので、無理してまでの厳格な管理・治療は、(特に高齢者においては)逆効果になるということです。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しで、無理のない治療が重要であるという医師の判断の重要性が含まれていると思われます。
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C型肝炎(HCV2型)の経口治療薬認可
3月に申請許可されていたギリアード社のC型肝炎治療薬が薬価収載されました。いよいよHCV2型に対する経口薬治療も始まります。かなりの治癒率(ウイルス持続陰性)のようなので、今まで治療ができず困っていた患者(HCV2型)に朗報になると思われます。これでBMS社のHCV1型経口薬に加え、今回の認可でHCV2型も経口薬による治療が可能になりました。
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PD-1抗体治療
京都大学の本蔗先生のグループが発見し、新たな抗がん剤として注目されているのがPD-1分子に対する抗体です。PD-1はがん細胞が表出している治療抵抗性の因子ですが、今までのがん治療はがんを抗がん剤などで攻撃するとい う概念でした。この薬は発想が異なり、免疫システムから攻撃されるがん細胞の治療抵抗性になっているPD-1機能をとめる(ブレーキをはずすという説明をされています)発想で開発された薬です。すでに小野薬品からオプジーボという名称で発売さ れ、メラノーマに使用、現在広い領域で治験中とのこと。今後注目の治療薬と思われます。
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